解体コラム

解体工事の前後で必要な申請・手続きを徹底解説

解体工事の前後で必要な申請・手続き
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家屋の解体工事を行う際には、さまざまな申請・手続きが必要になります。なかには法律で義務付けられているものもあり、申請・手続きを怠ることで、不要なトラブルへと発展してしまいかねません。

各種申請の義務を負うのは、基本的に解体工事の施主となりますが、委託が可能なものも存在します。いつまでに、どのような手続きを済ませなければならないのか、解体工事を開始する前に情報を整理しておくと良いでしょう。

本記事では、解体工事の前後で必要になる申請・手続き、申請時の注意点などを詳しく解説します。

家屋の解体前に行う申請

家屋の解体工事を始める前には、以下のような申請・手続きを行わなければなりません。

  • 解体工事届出
  • 道路使用許可申請・道路占用許可申請
  • 特定粉じん排出等作業の実施の届出
  • 建築物除去届・建築物工事届
  • ライフラインの停止
  • 近隣説明会

それぞれの内容や必要書類、提出期限などを見てみましょう。

解体工事届出

解体工事届出は、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に関わる重要な手続きです。解体したい建物の延べ床面積が25坪を超えるなど、一定の条件を満たすとき、都道府県に対して届出を行います。

届出を怠った場合、行政指導の対象です。この指導に従わなければ、20万円の罰金が科せられる可能性もあるため注意しましょう。

解体工事届出の提出義務は、原則として施主にあります。ただし、委任状の作成によって、解体工事を依頼した業者などに代理で手続きを任せることも可能です。

届出が必要な条件

解体工事届出が必須となるのは「特定建設資材を用いた建物かつ、以下の規模に該当する解体工事」を行う場合です。

【対象となる特定建設資材】

  • コンクリート
  • コンクリートと鉄でできた建設資材
  • 木材
  • アスファルト・コンクリート

【建設リサイクル法の届出対象となる工事の規模】

  • 建築物の解体工事:延べ床面積が80平方メートル以上

届出に必要な書類

解体工事届出に必要な書類は、以下のとおりです。

 書類名     備考
解体工事届出書各自治体の窓口やホームページで入手できる所定の様式の届出書
分別解体等の計画等 解体工事では別表1を使用し、建築物の周辺状況や解体工事の作業内容などを記載
設計図または写真建物の外観の写真とともに、必要に応じて図面や設計図を添付
案内図1/1,500~1/5,000程度の縮尺の既製地図を使って、解体対象となる建物の場所を明記
工程表解体工事の工程表※自治体が参考様式を配布しているケースもある
委任状施主本人が手続きを行う場合は不要

上記書類の原本をそろえたうえで、コピーも用意しておきます。自治体によっては追加書類を求められる場合があるため、提出前に役所の窓口などで確認をとっておくと良いでしょう。

静岡市内の場合、解体工事届出に関する相談受付窓口は「都市局建築部建築安全推進課指導係」となっています。

道路使用許可申請・道路占用許可申請

解体工事の際、一時的に現場周辺の道路へ車両などを停める場合は、道路使用許可を申請する必要があります。足場や工事車両などが継続的に道路を占有するようであれば、道路占用許可申請を行わなければなりません。

道路使用許可申請・道路占用許可申請それぞれの必要書類と提出期限、提出先は下表のとおりです。

申請内容必要書類・提出期限・提出窓口
道路使用許可申請【必要書類】
・道路使用許可申請書
・位置図
・見取図
・道路使用の方法および形態を説明する資料
・交通量調査資料や迂回路図など、警察署長が必要と認めた書類

【提出期限】
・工事実施前まで

【提出窓口】
・道路使用場所を管轄する警察署
道路占用許可申請【必要書類】
・道路占用許可申請書
・道路占用許可申請手続きマニュアル
・道路占用許可申請書
・位置図
・平面図
・断面図
・交通規制図
・現況写真
・占用物件確認書(掘削工事を伴う場合)
・道路占用許可申請書の表紙のコピー2部   (警察協議が必要ない場合)

【提出期限】
・工事実施日の2週間前まで
 ※警察協議が必要な場合は3週間前まで

【提出窓口】
・管轄の土木管理課(道路管理者)

道路使用許可申請について、明確な提出期限は定められていませんが、解体工事が始まる前までに許可を受けられるよう、早めに手続きをすると良いでしょう。一方で、道路占有許可申請の提出期限は、工事実施日の2週間前までです。警察協議を要する場合はさらに期限が早まり、工事の3週間前までの申請が求められます。

なお、道路使用許可と道路占有許可の両方が必要なケースでは、対象の道路を管轄する警察署、または道路管理者に一括で申請を行うことも可能です。

特定粉じん排出等作業の実施の届出

解体工事へ取り掛かる前に、対象家屋のアスベストの含有有無を確認するため、事前調査の実施が義務付けられています。事前調査によってアスベスト建材の使用が認められた場合、特定粉じん排出等作業の実施の届出が必要です。

従来は解体業者に届出義務がありましたが、現在は施主自身で、アスベスト撤去作業の実施14日前までに都道府県へ届出を行わなければなりません。この際、アスベスト建材の発じん性レベルによって、必要な手続き内容が異なります。

レベル届出内容
レベル1・2の場合【労働基準監督署への届出】
・事前調査結果の届出
・工事計画届
・建物解体等作業届

【都道府県庁への届出】
・特定粉じん排出等作業届
・建設リサイクル法の事前届
レベル3の場合【労働基準監督署への届出】
事前調査結果の届出

【都道府県庁への届出】
建設リサイクル法の事前届

施主は、事前調査の結果を受けたうえで、アスベスト建材の使用状況に応じた適切な届出を行いましょう。

解体する建物にアスベスト(石綿)が含まれていたら?危険性や注意するポイントを解説

建築物除去届・建築物工事届

解体工事前には、建築基準法第15条に基づき、都道府県知事への建築物除去届と建築物工事届の提出が求められます。いずれも、解体する建物の床面積合計が10平方メートルを超える場合に必須となる届出です。

ただし、建築物除去届と建築物工事届では、対象の工事内容や手続きのタイミングに違いがあります。

届出対象の工事内容提出期限
建築物除去届除去工事(解体工事)のみを行う場合除去工事の実施前
建築物工事届建築物の除去(解体)後、当該敷地に再び建築物を建てる場合新たな建築物を建てる際の確認申請と同時に提出

これらの届出義務を負うのは施主ですが、解体業者などが代行するケースもあります。

ライフラインの停止

建物の解体工事が始まる前までに、各種ライフラインの停止手続きを済ませておきます。電気・ガス・インターネットなどを停めないまま解体工事を始めてしまうと、感電やガス漏れのリスクを高めかねないためです。

ただし、水道に関しては、解体工事中に埃や粉じんの飛散防止に使われる場合もあります。念のため、水道をはじめとしたライフラインを停止させても良いか、事前に解体業者へ確認しておくと良いでしょう。

近隣説明会

解体工事には騒音や振動が伴い、現場周辺にも少なからず影響を与える点を考慮して、近隣住民に事前説明会を実施し、理解を得ておくことが大切です。自治体によっては、工事前に近隣住民への説明を義務付けている場合もあります。

解体工事を依頼した業者に、説明会や挨拶回りを任せられるケースもありますが、近隣トラブルを極力回避するには、施主もこれらの機会に同行するのがおすすめです。必要に応じて、緊急連絡先となる電話番号やメールアドレスも伝えておきましょう。施主が積極的に誠実な姿勢を示すことで、近隣住民との関係性を保ちながら工事を進めやすくなります。

家屋の解体後に行う申請

解体工事が無事完了したら、以下4つの申請・手続きを進めましょう。

  • 建物滅失登記申請
  • 工事中使用した水道の停止申請
  • 家屋滅失届
  • 土地滅失登記

それぞれの必要書類や提出方法を解説します。

建物滅失登記申請

解体工事の完了から1ヵ月以内に、法務局に対して建物滅失登記の申請を行う必要があります。建物滅失登記は、建物の所有状況を正しく申告するための手続きであり、固定資産税の算出にも関わる届出です。

建物滅失届出の申請時は、以下の書類が求められます。

書類名備考
滅失登記申請書法務局のホームページから申請書の様式をダウンロード可能
建物滅失証明書解体工事を依頼した業者から取り寄せる
取り壊した業者の印鑑証明書解体工事を依頼した業者から取り寄せる※会社法人等番号を申請書に記載する場合は不要
取り壊した業者の代表者の資格証明書解体工事を依頼した業者から取り寄せる※会社法人等番号を申請書に記載する場合は不要
解体した建築物の登記簿、位置図登記されていない建物の解体工事では滅失登記申請が不可能

施主自身での手続きが難しい場合、家屋調査士などの専門家に代理申請を依頼することも可能です。ただし、家屋調査士の利用には3~5万円程度の費用がかかる点を念頭に置いておきましょう。

工事中使用した水道の停止申請

解体業者が工事中に水道を使用した場合、解体が完了してから水道の停止手続きを行います。水道を使用しない業者であれば、解体工事の開始前にその他のライフラインと一緒に停止させていても問題ありません。

工事中に使用した水道代の支払いに関しては、解体業者との契約時点で取り決めを交わしましょう水道代を負担するのが施主と解体業者のどちらであっても、工事後には水道メーターの検針値を確認し、記録を取っておくのがベターです。

家屋滅失届

以下の条件に当てはまる場合、家屋滅失届の提出が必要です。

  • 未登記の家屋を取り壊した場合
  • 滅失登記を行わない場合
  • 建物滅失登記申請の手続きが家屋を取り壊した翌年以降になる場合 など

解体工事の領収書など、対象家屋がなくなった日時を確認できる書類を解体滅失届に添付し、管轄自治体の税務課へ提出してください。この手続きにより、解体した家屋が固定資産税の課税対象から外れます。届出の提出期限は、解体工事完了から原則1ヵ月以内です。

土地滅失登記

解体工事のあと、まれに土地滅失登記が必要となるケースもあります。土地滅失登記は一般的に、災害などの影響で所有地が海面下や川底に沈んだ場合に発生する手続きです。ただし、復旧が可能であれば土地滅失とは見なされないため、登記申請も必要ありません。

解体工事にあたって注意したいのが、人為的に土地を掘削して消滅させた場合にも、土地滅失登記の対象となる点です。例えば、地下施設を建設するために大規模な掘削を行い、地表の土地を消滅させたときなどが該当します。

土地滅失登記の提出期限は、不動産登記法第42条に基づき、滅失の日から1ヵ月以内です。届出の対象条件に当てはまる場合、期限内に忘れず手続きを行うようにしましょう。

解体工事の申請についてよくある疑問

解体工事の前後では、数多くの申請・手続きを着実に進めなければなりません。そのなかで、申請漏れや不備があった場合にペナルティは発生するのか、建物の所有者が亡くなっていても特別な手続きは必要ないのかなど、疑問を感じる場面もあるでしょう。

解体工事の申請・手続きに関する気になる疑問とその回答を紹介します。

申請に不備や漏れがあったらどうなる?

解体工事に伴う必須の申請・手続きで、書類不備や申告漏れが発覚した場合、次のような罰則が科される可能性があります。

対象罰則内容
解体工事届出の申請を怠った場合届出を求める通達のあとに是正勧告が行われ、応じなかった場合には20万円以下の罰金
建物滅失登記の届出を怠った場合届出を求める通達のあとに是正勧告が行われ、応じなかった場合には10万円以下の罰金

・固定資産税が余分に発生したり、物件購入時の住宅ローン審査に悪影響が出たりする恐れもある
道路使用許可申請なく道路を使用した場合3ヵ月以下の懲役、5万円以下の罰金
道路占用許可なく道路を占有した場合1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
特定粉じん排出等作業の実施の届出を怠った場合3ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金
土地滅失登記の申請を怠った場合届出を求める通達のあとに是正勧告が行われ、応じなかった場合には10万円以下の罰金

提出義務が施主にある届出に関しては、違反による罰則も施主に科せられます解体業者に手続きを委託できる場合でも、すべてを任せきりにするのではなく、適切なタイミングで滞りなく申請が進められているか進捗を確認しましょう。

解体する家屋の所有者が亡くなっている場合の申請はどうする?

解体した建物の所有者が亡くなってしまった場合には、通常時の建物滅失登記に必要な書類とあわせて、相続人を証明する書類の提出が求められます。これらの書類をそろえることで、相続人による建物滅失登記申請が可能です。

相続人であることを証明できる書類には、次のようなものが挙げられます。

  • 亡くなった方の戸籍謄本および除籍謄本
  • 建物滅失登記申を行う相続人の戸籍謄本

また、相続によって自分自身の所有物となった家屋の解体工事を行うには、あらかじめ以下の確認事項を調査し、着工のための準備を整えておきましょう。

確認事項      備考
登記簿不動産登記簿謄本を取得し、建物・土地の登記名義人を確認亡くなった方の両親や祖父母などが名義人になったままの場合、遡って相続登記をする必要がある
抵当権不動産登記簿謄本を取得し、抵当権設定を確認抵当権が付いた建物であれば、「債務の返済は済んでいるのか」「抵当権者は誰か」を調べる相続した建物に抵当権設定があるとき、抵当権者の承諾なしに解体工事は行えない
法定相続人の有無不動産登記簿謄本を取得し、相続人を確認する相続人がいる場合、関係者同士で解体費用の負担や解体後の対応について話し合う

不動産登記簿謄本は、法務局の窓口や郵送で取得できます。

まとめ

解体工事が始まる前には、解体工事届出や道路使用許可申請、道路占有許可申請、特定粉じん排出等作業の実施の届出など、さまざまな申請・手続きが必要です。さらに解体が完了したあとも、建物滅失登記申請や家屋滅失届といった各種届出を済ませなければなりません。

これら申請・手続きのなかには、法律で義務付けられていたり、違反時の罰則が設けられていたりするものもあるため、提出期限や書類の不備不足に十分注意しましょう。手続きの進め方に不安がある場合、行政の窓口などに確認するほか、専門知識を持った解体業者にサポートを求めるのも一つの選択肢です。

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