解体工事を行う前は、不用品の撤去や処分、土地の二次利用に向けた計画などで慌ただしくなりがちです。ただし、建物の大きさや構造によっては、想定していた期間より工期が長くかかる可能性もあります。スムーズに解体工事を進めたい、工事完了日に期限があるという場合、計画的に業者の選定・依頼を行う必要があるでしょう。
本記事では、解体工事にかかる期間の目安を家の大きさ別に紹介します。工期が延びてしまう原因や期間内に終わらせるためのポイントも解説しているため、解体工事をご検討中の方は参考にしてみてください。
目次
家の大きさ別:解体工事期間の目安
解体工事にかかる期間の目安は、家の大きさや構造によって変わってきます。解体開始から工事完了までの期間の目安は、以下のとおりです。
家の大きさ/構造 | 解体工事期間の目安 |
10坪程度の倉庫や小屋 | 約2〜3日間 |
15坪程度の平屋(木造) | 約4~5日間 |
30坪程度の住宅(木造) | 【重機を使用した場合】 約7~10日間 【手作業の場合】 約2~3週間 |
30坪程度の建築物(鉄骨造) | 約10日~2週間 |
30坪程度の建築物(鉄筋コンクリート造) | 2週間以上 |
60坪程度の住宅(木造) | 約10日~2週間 |
※あくまで目安となるため、詳しくはお問い合わせください
10~15坪程度の小規模な倉庫や木造の住宅であれば、比較的短い日数で解体工事が完了する可能性があります。一方で、30坪以上の建物になると、10日以上の工期を想定しておかなければなりません。これより坪面積の広いアパートやマンションの場合、解体工事完了までに1ヵ月以上の期間を要するケースもあるでしょう。
解体工事の期間が延びる理由
例えば坪数がそれほど大きくない木造の一軒家であっても、悪天候や地中埋設物の発見などの思わぬトラブルから、解体工事の期間が延びてしまう可能性があります。また、近隣トラブルが原因で工事が滞るケースも少なくありません。
悪天候が続く
解体工事の期間が延びる原因の一つに、悪天候が続き、工事が予定通りに進まないことが挙げられるでしょう。豪雨や大雪、台風などの影響で作業ができないと、解体工事のスケジュールに狂いが出ます。
小雨が1日降った程度であれば、工事は可能です。しかし、雨の日が長く続くと足元がぬかるみ、事故の原因となったり重機が動かせなくなったりなどのトラブルが懸念されることから、工事を停止せざるを得ません。天候が崩れやすい梅雨や台風シーズン、大雪のシーズンなどは特に、工期が延びるリスクを念頭に置いておく必要があるでしょう。
近隣住民からクレームが発生する
解体工事による騒音や振動、粉塵に対して近隣住民からクレームが届き、工事を一時停止する場合にも、工期に遅れが発生しがちです。話し合いで問題を解決できればよいものの、大きなトラブルに発展してしまうと、工事再開の目途は立ちにくくなるかもしれません。
騒音や振動が続くことで、近隣住民には少なからずストレスが蓄積します。特に、昼間に休息を取る夜勤者にとっては睡眠不足などの健康状態にも影響するため、「少しのあいだの騒音くらいなら大丈夫」と軽く捉えるのは避けましょう。
クレームを防ぐためには、工事を開始する前に近隣住民に対して挨拶や説明を行い、理解を得ておくことが肝心です。
地中埋設物が発見される
解体工事を進めるなかで地中埋設物が発見されると、撤去が必要となり解体作業への着手が遅れるだけでなく、物によっては工事が中断される可能性があります。大きな岩のような自然の地中埋設物をはじめとして、古井戸や浄化槽、下水道管などの人工物が発見されることもあり、それぞれ適切な処理を行わなければなりません。
容易に取り除けるものなら工期にはさほど影響しませんが、追加で重機の使用が必要な場合や、貴重な遺跡が見つかった場合には、大きな遅れが生じることになるでしょう。解体工事が始まる前に地中埋設物を確認しており、撤去をスケジュールに組み込んでいる場合は問題ないといえます。
手壊しによる作業が発生する
手壊しによる作業が多い場合、重機を使用するより時間がかかる可能性があるでしょう。手壊しとは、重機を使用せずに人力で建物を解体する方法を指します。
近年の解体工事は、手作業で産業廃棄物を分別してから重機を使って構造部分などを取り壊す、重機併用工法がメジャーです。しかし、道幅が狭く重機が入れない場所や、ある程度の人通りがある交通量の多い場所などでは、手壊し解体が採用されます。
手壊しによる解体が発生した場合、工事期間が長くなりやすいだけでなく、人件費が上乗せされる点にも注意が必要です。
解体工事を期間内に終わらせるためのポイント
解体工事中にはさまざまなトラブルが想定されますが、依頼者側がいくつかのポイントをおさえておくことで、トラブルによる工期の大幅な遅れは防ぎやすくなります。業者選びや不用品の処分、近隣住民の説明など、それぞれの工程をゆとりのあるスケジュールで進め、期間内での解体工事完了をめざしましょう。
天候の安定した時期を選ぶ
解体工事を急いでいない場合、悪天候が少ない季節を選ぶことで、作業を順調に進められる可能性があります。工期中の天候を完璧に予測するのは難しいものの、梅雨や台風の季節を避けることは可能です。例えば5月末~7月頃までの梅雨の時期や、台風の発生しやすい9~10月、雪が降る12~2月あたりは極力避けるとよいでしょう。
これらの天候が不安定な時期の末頃に解体業者へ相談を持ちかけ、その後のスケジュールを立てるようにしてみてください。
建物内の物は事前に処分する
予定している期間内で解体工事を完了させるには、依頼者側であらかじめ不用品を処分しておくのがポイントです。解体対象である建物内に物が残っていると、工事が始まってからリサイクル可能な品と廃棄物とで分別し撤去を行わなければならず、作業に遅れが生じます。
また、建物内に残った物の処理を解体業者に頼む場合、追加費用が発生するケースがほとんどです。事前に建物内の不用品をできる限り減らしておけば、解体業者の作業時間を短縮できると同時に、費用も抑えられます。依頼者自身で処分できないような物は、不用品回収業者に依頼して取りに来てもらうほか、行政の粗大ゴミ回収を利用するのも一案です。
早めに業者選びを行う
解体工事を終わらせておきたい時期や具体的な日程が決まっている場合は、早いうちに業者選びを進めましょう。解体工事の繁忙期(年度末の2~3月頃)などに相談すると、実際に着工できるまでに期間が空いてしまったり、予想より工事期間が長くなったりする恐れがあるためです。
解体後すぐ新たな建物を建てたい、あるいは土地を売りたいというとき、工事中に懸念材料があったとしても、無理矢理に工事を進めなければならなくなる可能性があります。後々のトラブルを防ぐためにも、ゆとりのあるスケジュールで業者を選定・依頼することが大切です。
業者と密接にコミュニケーションを取る
解体工事をスムーズに終わらせるためには、業者との積極的なコミュニケーションも欠かせません。依頼主が定期的に進捗を確認することで、認識のすり合わせがしやすく作業を円滑に進められるほか、現場にもよい緊張感が生まれます。
また、悪質な業者の場合、依頼主から承諾を得ないまま追加工事を行い、費用を上乗せするケースもあるため注意が必要です。業者との密接なコミュニケーションは、依頼主にとっても、予定通りに工事が進んでいることを確認できるメリットがあります。違和感を覚える場面があれば、迷わず業者に確認を行い、不安なく解体工事を進められるようにしましょう。
近隣住民への説明は怠らない
クレームの発生を防ぐためには、近隣住民に対して丁寧な説明を行い、解体工事に対する理解を得ておく必要があります。どれだけ親しい間柄の住民だったとしても、解体工事による騒音や揺れ、粉塵、重機・トラックの駐車などで不満を溜めさせてしまった結果、関係が険悪化するかもしれません。
通常は業者側で近隣住民への説明を行ってくれますが、依頼主も同行し挨拶をしておくことで、理解や協力を得やすくなるでしょう。
まとめ
解体工事にかかる期間は、家の大きさ・構造によって変わってくるだけでなく、天候や地中埋設物の発見などにも影響されます。これらは依頼主の力でどうにかできるものではありませんが、工事をスムーズに進めるために対策を打つことは可能です。
第一に、解体工事の繁忙期や悪天候の多い時期は避けつつ、余裕を持ったスケジュールで業者選びを行いましょう。また、解体したい建物の中にある不用品は、依頼主側であらかじめ処分しておけるとベストです。近隣トラブルも工期の遅れを招く原因となるため、挨拶や説明を怠らないことも重要になります。これらのポイントをふまえて、解体工事をスムーズに進めてください。